リファレンスモニターとしての系譜
1998年、初代MAXXのリリースは、オーディオ界に激震を走らせました。21世紀に入り、MAXXはその後Series2となり、多くのオーディオファイルとオーディオメーカーのリファレンス機として不動の地位を獲得します。そして、それは今また、最新テクノロジーによっ「MAXX Series3」としてアップグレードされ、そのポテンシャルを一層強固なものとしました。
「MAXX Series3」(MAXX 3)の最も注目すべきは、再生音のリアリティーを高めるタイムドメイン・パフォーマンス。上部ミッドレンジ・モジュールとその下のトゥイーター/ミッドレンジ・モジュールを分離し、前後位置と角度の微細な調整による、ドライバー放射軸の整合、位相整合を精確に調整することを可能とし、リスニングルームに、胸のすくような音像と音場を繰り広げます。
「MAXX 3」はWilson Audio(ウィルソン・オーディオ)のフラッグシップ機である Alexandria X-2のもつ広大なダイナミックレンジとサウンドスケールの資質を受け継ぎながら、そのハンドリング性では一歩秀でたスピーカーシステムです。
キャビネットは、MAXXの進化の過程でさらに改良された硬度とダンピング性能のバランスに優れる第2世代X材と第3世代M材によって構成。不要共振をさらに低減しています。
初代X材は、1992年開発のX-1 Grand SLAMMのために研究されたセルロースとフェノールの混成物で他の追随を許さない圧倒的な性能を発揮させます。そして、それは、ウィルソン・スピーカーのミッドレンジ・ハウジングを除く(1,000Hzの共振周波数であったため非ミッドレンジ用として)あらゆる部分に採用される極めて有用な素材となったのです。
「MAXX 3」のキャビネットを構成する第2世代X材は、それをさらに発展させたミネラルを含有する混成積層素材。また、第3世代M材は初代M材の木材パーチクルとフェノール樹脂の積層素材からさらに改良が加えられています。
「MAXX 3」には、Alexandria 2で開発された動的質量が極めて軽く強靭なファイバー混合コーンと強力な磁気回路によるミッドレンジ・ドライバーの、アッセンブリーにわずかなシンプル化を図った新バージョンを採用し俊敏で低歪率、高S/Nな響きを達成しています。
トゥイーターは、強力なマグネットによる磁気回路で低歪率でスムーズな広帯域再生を可能としたチタニウム逆ドーム型。ハウジング内のダンピング材の投入により、僅かなダイヤフラム後面波をも徹底して吸収し高S/Nを実現しています。
キャビネット・モジュールは3分割し、低域モジュールに対して中高域モジュールの前後位置と角度の微細な調整による、ドライバー放射軸の整合、位相整合を精確に調整することを可能としています。これによって、1000分の25秒という許容範囲でリスニングポイントでの時間軸整合が達成されます。
この、音の進行速度の一致を図って、ドライバー放射軸の精確な調整を行なう方法は、レンズ設計における非球面レンズによって焦点をあわせることに擬えて、Aspherical Propagation Delay(非球面的伝播遅延)」調整機構と呼んでいます。
ミッドレンジクロスオーバーはトゥイータークロスオーバーから独立分離され、相互の影響を回避させています。また、クロスオーバー回路自身にも細心の注意が払われています。他のすべてのウィルソン・スピーカーと同様に、クロスオーバーアッセンブリーはエポキシで完全に封入されたケースに収容され、電気的/機械的共振の影響からくる音の滲みを解放する優れた機能を果たします。
ウーファーは、13インチ と10.5インチのカーボンファイバー混成ペーパーコーンを強力な磁気回路で駆動するデュアル構成。引き締まった低域諧調表現と広大なスケールを現出させます。
[ Specifications ]
● ウーファー:13インチ(33.02 cm)及び10.5インチ(26.67cm)・カーボンファイバー混成ペーパーコーン
● ミッドレンジ:2 x 7インチ(17.78 cm)カーボンファイバー混成ペーパーコーン
● トゥイーター:1インチ(2.54 cm)チタニウム逆ドーム
● 感度:91 dB @ 1W/1m @ 1 kHz
● 公称インピーダンス:4Ω(最低: 2.9Ω @ 24Hz)
● 周波数特性:+/- 3 dB 20Hz - 22.5 kHz Room Average Response
● 外形寸法:413W × 1720H × 616D mm
● 重量:190.5kg(1台)