Analog DAC
D/Aコンバーター
MSBテクノロジーは、90年代初頭の早くから一味違うマニアライクなCDプレーヤーとDACを手掛けて以来、常に時代を先取りする製品開発を進めてきました。今でこそ当たり前になった24 bit/96kHz対応DACも、世界に先駆けて98年にリリース。そして2000年代後半には、USBを含むすべての入力で384kHz対応を果たすディスクリート・サインマグニチュード・マルチビットDACを製品化するなど、デジタルオーディオの可能性をさらに拡げるための最先端技術への飽くなき挑戦が絶え間なく続けられています。その原点は、音楽とその再生にかける情熱と感性、再生品位に関わる現象とプロセスを読み解き解決に導く科学的分析力のすべてを一体化させた、的確な、そして先進の技術力。
[ Analog DAC ]は、そうしたMSBテクノロジーの技術の集大成として、また、リファレンス機Diamond DACの開発から産まれた高度なD/A変換方式と高精度クロックなどの最先端テクノロジーを凝縮。同等の80bitDSPによる信号処理を行ないながら、DAC心臓部をシンプルなシングルエンド構成とし、高精度低ジッターのフェムト・テクノロジーをカスタマイズしたクロックなどの諸機能をモノリシックなアルミニウムブロック削り出しのシャーシーに搭載しています。 メカニカル・アーキテクチャーは、Diamond DACのようなクロックなど内部サーキットのアップグレード機能は省かれていますが、最も重要な入力ファンクションは、モジュラー構成としシステムに応じて必要な機能をカスタマイズすることができるフレキシビリティーを持っています。
現代最先鋭のD/Aコンバーターとして[ Analog DAC ] は、最大384kHzPCM、11.2MHz(256x)DSDなど、あらゆるハイレゾルーション音源に完璧に対応しながら極めてナチュラルかつダイナミックな再現力を誇ります。
それでは、以下、各セクションについてご案内します。
[ 究極のマルチビットDAC ]
MSBはDAC方式として当初からラダータイプのマルチビット・スタイルに拘り続けています。それは、量子化されたデジタル・オーディオ信号の各レベルに対してストレートにアナログ変換セグメントを呼応させるため、⊿∑変調やノイズシェービングなど余分な信号処理を必要としない最も根源的で的確なDAC方式であるためです。Analog DACには、そのラダータイプ・マルチビット方式の最進化形、ディスクリート・サインマグニチュード・ディスクリートDACモジュールを2個搭載。マルチビットDACで発生しやすい全ビット列の1と0が反転する際のゼロクロス歪みを根源的に回避すると同時に、マルチビットにおける「真」の25bitレゾルーションを達成しています。 また、その出力は、一般的なマルチビットDACが電流出力をI/V変換し、DCコレクション回路とアナログフィルターなどの補償回路を経由して出力するのに対して、Analog DACはディスクリート・ロジック/抵抗素子をDACモジュール内に搭載することで補償回路なしでダイレクトに電圧出力し高ダイナミックレンジ、ハイ・スルーレートによる高純度ハイパワー出力を実現しています。
[ 超高速DSP信号処理 ]
デジタル信号処理には、超高速80bit演算能力のSharc DSPを配備。このDSPによって入力デジタル信号は384kHz32bitのアップサンプリング処理と、MSB独自の32倍32bit精度のシングルステージ構成によるアドバンスド・オーバーサンプリング・デジタルフィルターリングが行なわれます。 ※アップサンプリングは、オリジナルサンプルポイントを正確に保持する整数倍同期方式。44.1, 88.2, 176.4 は352.8 kHz/32 bitsに、48, 96, 192は384 kHz /32 bitsにそれぞれアップサンプリングされます。
リ・クロッキング機能: MSBのPRO I2Sインターフェースを使用すれば、DACからトランスポートにマスタークロックを供給し、それに同期してD/A変換を行なうため極めて精確で低ジッターとなりますが、それ以外の場合にも同じように精度を高く保つため、入力信号にはリ・クロッキングをかけることが可能です。リ・クロッキングとは、入力データを一度バッファーし、データのみをDACの高精度マスタークロックに同期処理する方法です。これによって、DACの低ジッター性能が最大限に生かせます。 ※リ・クロッキングはON/OFF可能。バッファーはFIFOメモリー回路のため約0.5秒の遅延が生じます。音楽ソースでは問題にはなりませんが、映画などでリップシンク調整が執り切れない場合には、この機能をOFFにできます。
[ 超低ジッター・クロック ]
DACの動作精度、歪みの少なさは信号処理を制御するマスタークロックの性能に依存します。Analog DACには、Diamond DACの開発で得られたフェムトセカンド・クロックテクノロジーをカスタマイズした超低ジッター・マスタークロックを搭載。 ジッターとは、クロック信号の微細な揺らぎ、つまり時間軸での不安程度を示す時間量です。クロックが僅かでも揺れると、それはD/A変換の時々のタイミングを微妙に変化させるため、復調されるアナログ信号に非高調波歪みを加えるという直接的な影響を与えます。その歪みは、周波数が高くなるほど、また信号レベルが小さいほど顕著に現れます。それがごく僅かであったとしても非高調波歪みは自然界には存在しないため、アナログ音楽信号のハーモニクスと音場情報を不自然にゆがめます。場合によってはデジタル特有の「ハーシュ」な響きで不快感を煽ります。 また一方、クロック周波数精度とジッター値とは別物であることも理解しなくてはなりません。精度の優秀さをいくらppm単位で誇ってもジッター値が良くなければ正確なD/A変換は望めないのです。また、クロック単体としての精度が幾ら良くてもDACとの物理的距離が長くなれば、その伝送路でジッターは悪化します。 MSBは、同一筐体内のDACに対する最短距離となる位置に高精度低ジッターのマスタークロックを配置することで本来のその性能を遺憾なく発揮させています。
[ デジタルインプット ]
AalogDAC のデジタル入力ステージは、プラグイン・モジュール方式を採用しており、モジュール各種から3 系統までを自在に装備することが可能です。
●標準モジュールは、
[ Optical&Coax S/PDIF ] [ AES/EBU ] [ MSB PRO I2S ] [Quad DSD USB] の4種類。
(標準モジュール1系統は標準価格に含まれます。他の2系統はオプション扱いです)
●プレミアムモジュールは、[Quad DSD&MQA USB]、[Audio Renderer]の2種類。
(プレミアムモジュールは本体標準価格に含まれません)
[Quad DSD USB] [Quad DSD&MQA USB]は、最大11.2MHzDSDと384kHzPCM にまで対応する最先端USB DAC機能をもたらします。
※USBでの対応OSとドライバー情報は本ページ最下部をご参照ください。
[Audio Renderer]は、AnalogDAC をNASベースのハイエンド・ネットワークオーディオプレーヤーに変身させる最新ツールです。現在最高峰の音楽ファイルフォーマットとされる11.2MHz(256 倍)までのDSD と384kHz/32bit までのPCMに完全対応の完璧さを誇ります。
[ MSB PRO I2S ] MSB独自の高精度PRO I2Sインターフェースとは:
MSBのトランスポートとDACとの間をCAT6LANケーブルで接続。DACから高精度マスタークロックをトランスポートに送って完全同期させ、データ信号とビットクロック、ワードクロックをDACに送ります。そのインターフェースはフローティング・グランドによるバランス駆動のCAN BUSシリアルバス方式。相互のノイズの影響をシャットアウトし超低ジッターを得る優れた方式です。
[ 最大許容デジタル入力レート ]
PCM: 44.1, 48, 88.2, 96, 176.4, 192, 352.8, 384 (kHz) (@全入力、各24ビットまで※PROI2Sは32ビットまで)
DSD: 64x(@全入力 ※但しRenderer,USB以外はMSB UMTとの接続時), 64x&128x (Renderer入力 / DoP&ASIO@USB2&QUAD USB2 入力 ), 256x (Renderer入力 / ASIO@QUAD USB2 入力 )
[ アナログインプット ]
RCA端子によるアナログ入力を装備。スループットしプリアンプに送ることができます。 また、ボリュームコントロール・プリ機能搭載モデルでは、DAC出力のみならずアナログ入力に対してもボリュームコントロールが機能し、外部プリアンプなしでショートシグナルパスの高音質コントロールセンター(プリアンプ)としてご使用になれます。
[ ボリュームコントロール・プリ機能 ] ※搭載モデルのみ
パッシブアッテネーターとシングルOP-AMP構成による極めてシンプルなボリューム調整機構です。 一般的なプリアンプを経由するよりも最短の信号処理によってボリューム調整が可能となりますので、音楽信号のクォリティーを最大限に保ち、ダイレクトにパワーアンプへ送ることができます。ボリューム調整範囲は、+9dB~-69dB。ステップ゛は1dB。また、0dB位置では完全にこの回路をバイパスすることができます。 ※ボリュームノブのセンターボタンはインプット切替機能、ディスプレー部はボリュームレベルとインプットデータレートの自動切換え表示機能を併せ持っています。 ※Analog DACは予めボリューム機能を搭載したモデルと非搭載モデルの二種類があります。非搭載モデルは、後からの搭載モデルへのアップグレードはできません。またその逆もできません。
[ POWER SUPPLY ]
ベーシックパワーサプライ/アップグレードパワーサプライの二種類から電源ユニットを選択することが可能です。(*価格は異なります)。
・Desktop Power Supply:
アナログ・リニア構成によるベーシックパワーサプライです。 デジタル回路用とアナログ回路用とに独立させた2個のトロイダルトランスを搭載。
・Analog Power Base:
Analog DAC本体と同サイズにして、本体下部にバランスよく配置することのできるアップグレードパワーサプライです。 本体と同様にアルミニウムブロックを削り出した重厚なシャーシーに、5個のトロイダルトランスを搭載しアナログ・リニア構成整流・定電圧回路を組み込んでいます。アナログ回路、デジタル回路、クロック回路専用に独立させた極めて精緻で超低ノイズを実現するパワーサプライです。 また、DAC本体には、セパレート電源とは別に各回路に対しローカルレギュレーターが装備され更に低ノイズ化と安定性を獲得しています。
[ Specifications ]
●デジタル入力スロット:選択したデジタル入力モジュールを3系統まで装着可能
●デジタル入力モジュール :
スタンダード; [ Optical&Coax S/PDIF ] [ AES/EBU ] [ MSB PRO I2S ] [Quad DSD USB]
プレミアム ; [Quad DSD&MQA USB]、[Audio Renderer]
●許容デジタル入力:
PCM: 44.1, 48, 88.2, 96, 176.4, 192, 352.8, 384 (kHz) (@全入力、各24ビットまで※PROI2Sは32ビットまで)
DSD: 64x(@全入力 ※但しRenderer,USB以外はMSB UMTとの接続時), 64x&128x (Renderer入力 / DoP&ASIO@USB2&QUAD USB2 入力 ), 256x (Renderer入力 / ASIO@QUAD USB2 入力 )
●アナログ入力: RCA(L/R)
●アナログ出力レベル: 2.62V rms (RCA), 2.62V rms (XLR) ※0dBポジション
●出力インピーダンス:
53Ω(RCA@ボリューム非搭載モデル), 38Ω(RCA@ボリューム搭載モデル)
106Ω(XLR@ボリューム非搭載モデル), 76Ω(XLR@ボリューム搭載モデル)
●ボリュームコントロール(※搭載モデルのみ): +9dB~-69dB (1dBステップ)
●アナログXLR出力極性: Pin 1 = Ground, Pin 2 = Hot, Pin 3 = cold
●コントロールフィーチャー:
リモート, ディスプレー照度(※), 位相反転, -ボリュームレベル制限(※), 入力セレクション, フィルター選択(※), ビットパーフェクトテスト (※印はRS232またはWiFi別ユニット接続時に操作可)
●電源: 100V AC, 50/60Hz
●消費電力: 30W
●外形寸法:
本体; 445W x 22(+スパイク16)H x 335D (mm)
電源; 68W x 56H x 226D (mm, Desktop Power Supply) / 445W x 21.5(+スパイク16)H x 320D (mm, Analog Power Base)
●重量:
本体; 6kg
電源; 2kg (Desktop Power Supply) / 7.5kg (Analog Power Base)
●外装: マットブラックまたはマットホワイト
*本体はボリューム搭載モデル”Analog DAC”と非搭載モデル”Analog DAC std”の二種類に分かれます(価格は異なります)。
非搭載モデルは、後からの搭載モデルへのアップグレードはできません。またその逆もできません。
*電源はセパレート構成。ベーシックパワーサプライ[Desktop Power Supply] 、または、アップグレードパワーサプライ[Analog Power Base]のいずれかを選択可能です(価格は異なります)。
対応OS:Windows XP/VISTA/7/8
(専用ドライバーのインストールが必要です。下記 [ Support ] USB2ウィンドウズ・ドライバー よりダウンロードできます)
Macintosh OS X version 10.6.4. (Snow Leopard)以降 (ドライバー・インストールは不要です)
※いずれもDSD再生の場合は、ウィンドウズではfoobar2000など、マックではAudirvana plusなど、DSD再生に対応したプレーヤーソフトが必要です。各種設定はプレーヤーソフトのマニュアルに準じてください。
※改良のため仕様は予告なく変更することがあります。(2013.08/2016.02)