MX-R Twenty
リファレンス・パワーアンプ
—– エアー20周年記念モデル —–
“MX-R Twenty”リファレンス・パワーアンプ
2006年、衝撃的なデビューを果たしロングセラーを続けるエアー・リファレンスシリーズの第一号機”MX-R”は、分厚いアルミブロックを丹念に削り出し、シャーシーとヒートシンクを一体化するというユニークなモノコック・アーキテクチャーの中に、エアー伝統のゼロフィードバック・完全バランス構成のアドバンテージをかつてないレベルに高める独自技術”EquiLock”ゲイン回路を初めて搭載。その微塵の乱れをも生じさせない動特性は、極めて高いリニアリティーとワイドバンドウィズを超低歪率で達成し、パワーアンプに一大革新をもたらしました。
そして今日、8年の歳月を経て、その偉大なるアーキテクチャーと拘りのディスクリートデバイス構成をそのままに、それは、内部回路への更なる新技術の投入によって”MX-R Twenty”として生まれ変わりました。
ゲインステージの”EquiLock”を構成するカレントミラー回路をオプティマイズするとともに、特にクリティカルな電圧安定度が要求されるフロントエンドからドライバーまでの電源回路には、新開発”AyreLock”リニア・パワーサプライを搭載。さらに、出力ステージには強靭な”ダブルダイヤモンド回路”を新搭載し、立上りのスピードと位相特性を大きく改善すると同時に駆動能力の大幅な強化が図られています。
筐体と電源トランス以外の全てに及ぶ”MX-R Twenty”のこの大規模な変革は、姿かたちを一にしながらも、”MX-R”からの単純なアップグレードの図式を超えて、全くの新モデルとしての新たな価値を生みだしています。広バンドウィズ、高S/N、低歪率といった優れた基本性能に加えて、より強化された動特性上のリニアリティーとドライバビリティーは、超絶のリアリティーで心に迫る音楽を奏でます。
[ MX-R Twenty の最新テクノロジー ]
■出力ステージに”新ダブルダイヤモンド回路”を搭載
MX-R Twentyの出力ステージには、新方式”ダブルダイヤモンド出力回路”を搭載。一般的に、ダイヤモンド回路は、コンプリメンタリーに組まれたNPN/PNPトランジスター出力段を上下対称に配置された初段トランジスターのエミッタフォロアでドライブし、極めて高い電流駆動能力を発揮させながら高S/Nと低歪率を実現するものですが、”ダブルダイヤモンド回路”は、出力段のみならず初段までもコンプリメンタリー・プッシュプル回路とした二重構造としています。これによって一般の回路が膨大な熱の発生を余儀なくされるのに対して、”ダブルダイヤモンド回路”は35%も温度上昇を抑えることに成功し、特に低域でのより強力なパワーハンドリングと制動力を実現しています。また、さらにこの”ダブルダイヤモンド回路”はホット/コールドの各位相に均等に組み込まれ、完全バランス回路を形成。片チャンネル当たり、バイポーラ素子12個(ホット/コールド各々に三パラのNPN/PNP)による出力段の強靭な電流駆動能力を最大限に引き出しながら、より高いニュートラリティーとクリアネスを獲得しています。ノン・フィードバック、フル・バランスというエアーの拘りを昇華させる最新のテクノロジーです。
■Ayre独自の”EquiLock”サーキットをより厳格にオプティマイズし優れた動特性をさらに改善
EquiLockサーキットは、カスコード/カレントミラー増幅回路を高度に発展させたエアー独自のリニアリティーに優れたゲイン回路です。ゲイントランジスターのリニアな動作特性領域を保つための電源電圧を極めて安定にホールドし、電圧変動が引き起こすゲイントランジスターのコンダクタンス、キャパシタンス特性変化による動特性の乱れを抑えます。MX-R Twentyでは、さらに改良され、より厳格な電圧安定化を図り動特性を高めた”EquiLock”回路をゲインステージの全てに搭載。極めて高いリニアリティーとワイドバンドウィズを超低歪率で達成しています。
■伝統のリニアー・アナログパワーサプライにさらに磨きをかける”AyreLock”ボルテージ・レギュレーターを搭載
音質に大きく関与し、また、特にクリティカルな電圧安定度が要求されるフロントエンドからドライバーまでのパワーサプライ回路にはAyreがポリシーとして長年拘ってきたディスクリート・リニアー・アナログ方式を採用。そしてさらに、MX-R Twentyでは、この回路に、以前のシングル・パワートランジスター出力方式によるレギュレーターに替えて、あたかもコンプリメンタリー・プッシュプル出力回路の如く作動する新開発”AyreLock”ボルテージ・レギュレーターを投入。電流増大時には瞬時にプルアップして出力パワーを上げ、減少時には瞬時にプルダウンして適正出力を保つ超能動的な働きによって、元来僅かであったとは言え音楽信号のダイナミックックスの起伏がもたらす消費電流の増/減双方に対する微細な変動にも、より鋭敏に、より精確に機能する画期的な超安定化電源を実現しています。また膨大な電流駆動が要求される出力ステージへのパワーサプライには、その整流素子として、これまでよりさらに低損失かつ大容量を実現するTO-247パッケージの新デバイスを登用。圧倒的な電源供給能力を達成し、音の鮮度とダイナミック動特性を劇的に向上させています。
■信号経路の全てに超高品位抵抗Vishay foil SMTユニット抵抗を採用
一般的に高性能メタルフィルム抵抗と呼ばれる通常のものに比してそのコストが20倍にも及ぶVishay foil SMTユニット抵抗を、新たに信号経路の全てに採用。高精度と高安定性において比類無きハイパフォーマンスを与え、更なる高音質化に貢献しています。
[ MX-RからMX-R Twentyへ、優れたテクノロジーの継承 ]
■オーバーオールはもちろん、ローカルにさえフィードバックを一切使用しない、ゼロフィードバック・サーキット・デザインによって位相精度を極め、倍音がナチュラルに広がる音の再現性を獲得。
■フル・バランス、ディスクリート回路構成
全段に亘ってバランス回路を採用。オペアンプを一切使用しないディスクリートデバイス仕立てによるそれは、位相直線性とドライブ能力に極めて優れ、並外れた高S/Nを達成しています。
■ソリッドアルミニウム・モノコックシャーシー
これまでのMX-Rと同様にヒートシンク一体型シャーシーが比類ない機械的安定性と防振・制振性能を生み、同時に電磁的シールド性能を最大限に発揮します。このヒートシンク一体型シャーシーは分厚いアルミブロックを丹念に掘り込むことで、電源ブロック、AC給電ラインブロック、表示部ブロック、アンプブロック、出力ワイヤーブロックの各セクションをつなぎ目のない独立コンパートメントとして形成しています。それは、あらゆる外部からの機械的振動、電気磁気的干渉から回路を保護し、同時に内部各ブロック間の相互干渉も徹底的に排除し、深いS/N感と躍動感をもたらします。
■独自のパワーフィルター「Ayre Conditioner」を搭載
電磁的なヒステリシスを起こさずフィルターリング効果が安定したパワーライン・RFIフィルター、Ayre Conditionerを搭載し、ACラインから混入してくる電源の高周波ノイズをブロック。クリーンな電流を安定供給し、深く芳醇なサウンドをもたらします。
■音質に優れたEIトランスをプラスマイナスに2個搭載
エアーは伝統的に電源トランスを音の良いEIトランスとしています。”MX-R Twenty”には、これまでと同様にそれを2個搭載。リニア整流回路の+側と-側にそれぞれに独立してAC電源を供給することでバランス回路の精度とクォリティーを向上させています。
■AyreLinkコミュニケーション・システム対応
KX-Rや2台のMX-R間での電源ON/OFFの同期がとれるRJ-11エアーリンク・ポートを装備。
[ Specifications ]
●出力パワー:300W(8Ω / 連続)、600W(4Ω / 連続)
●ゲイン:26dB
●入力インピーダンス:2MΩ(balanced、1MΩ per phase)
●周波数レスポンス:DC-250 kHz
●入力:バランス・ラインXLR端子1系統 (2番ホット))
●出力:バランス・スピーカーターミナル1系統
●電源:100VAC 50 / 60Hz
●消費電力:45W(standby mode)、120W(operating mode、no signal)、750W(MAX)
●外形寸法:W280×H95×D480(mm)
●重量:23kg
●筐体カラー: シルバーまたはブラック
※改良のため仕様は予告なく変更することがあります。(2014.11)